【コンサート同行レポート】フィドラーズ・ビド / Fiddlers’ Bid
フィドラーズ・ビド(Fiddlers’ Bid)の皆さんとシェットランドで過ごした時間を忘れないうちに記録しておこうと思います。
フィドラーズ・ビドはシェットランド出身のフィドル奏者の4人(クリス、ケビン、モリス、アンドリュー)とハープのカトリオーナ、ギターのジェン、ベースのネイルからなる7人編成のバンドです。
シェットランド諸島はフィドルによる伝統音楽の演奏がたいへん盛んな地域。フィドラーズ・ビドは1991年に結成されて以来、シェットランドの伝統音楽界を担っています。
日本にも過去2度来日しておられ、とても日本好きでいてくれているのは嬉しい事です。
31日のカウントダウンライブは本当に素晴らしいものでした。
動画は違う年の年越しライブのものですが、このような雰囲気でした! https://www.youtube.com/embed/RKBmQiKYA7s
途中でスケクラーズ(Skeklers)というシェットランド伝統のおばけも登場するなど、会場は大変盛り上がりました。
どこか日本の蓑にも見えるような…。
そして翌日の1月1日。
この日はAithという村でコンサートがあるというので、Fiddlers’ Bidの皆さんに同行させてもらいました。
前日の夜、このコンサートには特別な想いがあるとクリスが語ってくれました。
というのも、実は結成当初もう1人メンバーがおり、その方は20代で病気で亡くなられたのだそうです。
コンサートの開催地Aithはその方の出身地。ご両親も来てくださるという事でメンバーの皆が、このコンサートを大切に考えていました。
お昼、B&Bの前で待っているとアンドリューのお父さんが大きなバンを運転して登場。
ミュージシャンの皆さんの楽器や衣装を詰め込み、12人で村へ向かいました。
隣ではモリスが景色が変わる度にシェットランドについて語ってくれます。
途中でバンから降りて写真を撮ろう!と提案してくれて、美しい海の景色を間近に見ることができました。
会場に着くと村の方々が温かいスープやサンドイッチを準備して待っていてくれました。
美味しい食事に癒されリハーサルが始まります。
リハーサルではワイワイしていた雰囲気から急にピリッとした雰囲気に。
3時間ほどのリハーサルの後、20時から本番がスタートしました。
会場は村の方々で驚くほどいっぱいに。
昨日のコンサートと違う曲、編成も多かったのですが、やはり素晴らしい演奏に圧倒されました!
このコンサートでは、かつてのメンバーのご両親が詩を読まれたり、亡くなられたメンバー作曲の美しい曲を演奏されたり、温かい気持ちになるコンサートとなりました。
本番が終わり、楽屋へ行くとクリスが
「疲れてない?」と聞いてくれ、
「疲れるどころか演奏を聴いて全ての疲れが吹っ飛びました!」と答えると皆さんとっても喜んでくれました。
何だか私だけ演奏せず付いてきているので申し訳ない気分だったのですが…。
アンドリューが
「今日はRikoがシェットランドの曲を弾いてくれると聞いてるよ!」と話しかけてきてくれました。
どうやらカトリオーナが私が演奏できるように事前にメンバーの皆に話してくれたようなのです。
Fiddlers’ Bidの皆さんの前でシェットランドの曲を弾くなんてハードルが高すぎると思いましたが…
カトリオーナに楽器を貸り、コンサート後のセッションに参加させてもらいました。
私が練習してきたシェットランドの曲も演奏し、
「日本人がシェットランドの伝統音楽を弾いてくれるなんて本当に素晴らしいよ!」と皆が喜んでくれました。。。
この島の人たちは本当にフレンドリー。またいつでも来てねと言ってくれます。
夜中2:30頃、帰宅するためにバンへ乗り込みます。
バンの中でもウイスキーを飲みながら何人かはフィドルを演奏しています。
あたりは真っ暗、となりの人の顔も見えないですが、とても幸せな空間でした。
誰かの家に着くたび、ハグをして別れを惜しみます。
徐々に人数が減っていき、とても寂しい気分でした。
ずっと私の宿泊地に着かなければ良いのにと願いましたが、着いてしまい皆に「さよなら」を言いました。
夢を見ていたような、そんな気分です。
音楽を愛していて、心優しいフィドラーズ・ビドの皆さんの事が益々大好きになりました。
次はいつ会えるか分かりませんが、それまでに成長しておきたいと思います。
いつかFiddlers’ Bidの皆さんを日本に招き、コンサートができたら良いな…と新しい目標ができました。